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捨てられた抱き枕。

今朝はゴミ出しの日だったので、収集車が来るまでに準備を終わらせたくて必死だった。

だから「コーンフレークをお代わりしたい」という娘に対しても、「間に合わないからやめなさい」とか、「25分までに玄関から出れる?」とか、「はい、3分経過しました」みたいな感じの脅迫めいたことばかり言ってしまってた。

娘もコーンフレークを美味しく味わうというよりは、私に怒られないために必死で口に掻き込んでいた。

それをみて少しかわいそうにもなったけど、ゴミの収集時間があるから仕方ない。

それに朝の準備には毎日毎日時間がかかっているから、今日をきっかけに早く出れるようになってくれたら嬉しいという無駄な期待もあって、私は怖い母親というポジションを続行させた。

そして無事にゴミも出し終わり、安心して車に向かおうとしたとき、わたしが捨てたゴミをみて娘が「まくらさんバイバイ」と言っているのをきいて足が動かなくなった。

今回捨てたのはボロボロになった赤い水玉模様の抱き枕で、娘を妊娠中に母親からもらったものだ。

思えば私の大きなお腹をずっと支えてくれてたし、生まれた後も小さな娘がベットから落ちるのを防いでくれたりもしてた。

それからもずっと寝るときには抱いて寝たし、普通のまくらのようにも使ってきたし、時々PCと膝の間に挟んで仕事するようなこともあったっけ。

だから娘が「まくらさんバイバイ」と言ったのを聞いたとき、そんな思い出の詰まった抱き枕を、私はただゴミのように捨てたのかと思うと恥ずかしくて悲しくなってしまったからだ。

抱き枕に対して「さよなら」を言うべきなのは娘ではなく私の方だったとか、せめて袋に入れるときぐらい「ありがとう」という気持ちで入れればよかったと思って後悔もした。

子供って本当にすごい。

だって母親に怒られながら家を出るのは決して楽しい気分ではなかったはずなのに、今まで一緒にいた抱き枕への「さよなら」の一言はしっかりと言えるのだから。

ゴミを出す時間に間に合わせることと、今までお世話になった抱き枕に対して、ちゃんと「ありがとう」を言えることどっちが大切かって話なので、完全に娘の勝利だ。

ボロボロになってただ悲しく捨てられてしまった抱き枕の姿が、娘の「バイバイ」の一言で少し報われたような、そんな気持ちにさせられた出来事だった。

時間に追われると本当に大切なことが見えにくくなってしまう。

だからこそそんな状態に陥っているなと気づけたときは、「本当に大切なものは何か」とか、「忘れてしまっていることはないか」とか考える余裕くらいは持ちたいなと思った。

娘といるとそういうことがすごく勉強になるから、「これからもよろしくお願いします。」と頭を下げるのはこっちの方だとも思った。